新卒向けのスカウトメール、返信が来ないのはなぜ?|一斉送信に見えない文面の書き方

事業推進本部 名古屋支社
村上 祥大
新卒向けのスカウトメールに返信が来ない一番の理由は、誰にでも送れる文面になっていることです。会社の自己紹介と条件を並べるのではなく、「あなたのプロフィールを読んで送った」と分かる文面にします。そのうえで、気軽に来られる場に誘い、来ると何のメリットがあるかを書きます。
学生のもとには、毎日のようにスカウトが届きます。件名は「新卒採用のご案内」、本文は「貴殿のプロフィールを拝見し」。開いた瞬間に一斉送信だと分かる文面は、最後まで読まれません。学生が返信するのは、自分のことが書いてあるメールです。
結論:「あなたに送った」と分かる文面にする
返信が来るスカウトメールは、学生が「これは自分に向けたメッセージだ」と感じられる文面です。あるスカウトサービスでは、定型文に一人ひとりへのメッセージを添えると、学生がスカウトを承認する率や、採用が決まる率が約1.4倍になったと紹介されています。
返信が来ない文面には共通点があります。会社の創業年、従業員数、事業内容、福利厚生。会社が伝えたいことを並べただけで、学生の側から見た話が一つもありません。どの学生に送っても同じ文面なので、学生にもそれが伝わります。
直すときのコツは3つです。①相手に合わせて、伝える魅力を絞る。②最初の誘いは、気軽に来られる場にする。③来ると何のメリットがあるかを書く。どれも、学生の側に立って文面を読み直すことから始まります。

コツ1:伝える魅力は、相手に合わせて絞る
会社の強みは、全部書かずに、送る学生の関心に合わせて選びます。部活動を続けてきた学生には、チームで成果を出す仕事の話。資格の勉強をしている学生には、入社後に資格を取る人の話。同じ会社でも、相手によって最初に伝えることは変わります。
伝えるときは、数字だけで終わらせません。「若手が活躍しています」より、「入社1年目に一人で取引先を任された」と書く方が、学生は入社後の自分を想像できます。どんな場面で、どう成長できるのかまで書きます。
言葉も、学生に伝わるものに置き換えます。業界の専門用語や社内の言葉は、学生には意味が分かりません。自分では普通に使っている言葉ほど、送る前に一度読み直します。
書き出しには、プロフィールのどこを読んだのかを一言入れます。「4年間、陸上部で記録が伸びない時期も練習を続けた、という一文を読んでご連絡しました」。この一言があるだけで、一斉送信ではないことが伝わります。
コツ2:最初の誘いは、気軽に来られる場にする
スカウトで最初に誘うのは、選考ではなく、話を聞くだけで終われる場です。いきなり社長との面接や適性検査に誘われると、学生は身構えます。30分ほどの座談会やカジュアル面談なら、「話を聞くだけなら」と返信しやすくなります。
誘う場は1つに絞ります。座談会、職場見学、個別面談と並べると、学生は選ぶのに迷い、結局どれにも返信しません。最初は一番気軽な場を1つだけ案内します。
日程も、学生に「ご都合のよい日を教えてください」と任せません。会社から候補日を2〜3つ出し、「どちらが空いていますか」と聞きます。選ぶだけで返信できるので、学生の手間が減ります。

コツ3:来ると何のメリットがあるかを書く
学生は、その場に行くと何が得られるのかを見て、参加を決めます。「業界の仕組みが30分で分かる」「エントリーシートで聞かれやすい点を先輩が話す」「入社2年目の社員に何でも質問できる」。得られることを具体的に書くと、他社のスカウトとの違いがはっきりします。
会える社員も紹介します。名前と入社年だけでなく、その社員のエピソードを一つ添えます。「文系で入社し、3年目で現場の責任者を任された社員が話します」と書けば、学生は会ってみたい人の顔を思い浮かべられます。
学生が不安に思いそうなことにも、先に答えておきます。未経験から仕事を覚えられるか、入社後の研修はあるか、英語や資格の勉強を支える仕組みはあるか。聞かれる前に書いておくと、返信のハードルが下がります。
文面の例:書き直す前と後
書き直す前と後を、部分ごとに比べます。陸上部の学生に、座談会を案内する場合の例です。
部分 | 書き直す前 | 書き直した後 |
|---|---|---|
件名 | 【○○株式会社】新卒採用のご案内 | 陸上部で4年間続けた○○さんへ、30分の座談会のご案内 |
書き出し | 貴殿のプロフィールを拝見し、ご連絡いたしました | 記録が伸びない時期も練習を続けた、という一文を読んでご連絡しました |
自社と合う点 | 書いていない | すぐに結果が出ない時期も続けられる人が、当社では大きく伸びています |
会社の話 | 創業年、従業員数、事業内容、福利厚生を並べる | 入社1年目に任された仕事を一つ紹介する |
誘い方 | 選考へのエントリーをお待ちしています | 30分のオンライン座談会。候補日は○日と○日です |
来ると得られること | 書いていない | 業界の仕組みと、エントリーシートで聞かれやすい点を先輩が話します |
書き直した後の文面をつなげると、次のようになります。○の部分を学生ごとに書き換えれば、そのまま使えます。
「○○さん、はじめまして。株式会社○○の採用担当の○○です。陸上部で記録が伸びない時期も練習を続けた、という一文を読んでご連絡しました。」
「当社の営業も、すぐには結果が出ない時期があります。そこで投げ出さずに続けられる人が、2年目、3年目に大きく伸びています。○○さんが陸上部で続けてきたことは、当社の仕事でそのまま生きる力だと感じました。」
「当社では、入社1年目から一人で取引先を任されています。実際に1年目から取引先を任された先輩社員と話せる30分のオンライン座談会を、○日と○日に開きます。業界の仕組みと、エントリーシートで聞かれやすい点もお話しします。どちらかご都合はいかがでしょうか。」
書き直した後の文面は、すべての行が学生の側から書かれています。土台の文章は定型文でかまいません。件名と書き出しの一言だけは、学生ごとに書きます。1通に数分かかっても、返信の来ない100通より役に立ちます。
返信が来たら、その日のうちに返事をします。座談会の終わりには、次の予定をその場で決めます。スカウトは、会うための入口です。

まとめ
返信が来ない一番の理由は、会社の自己紹介と条件を並べた、誰にでも送れる文面になっていること。
コツ1:伝える魅力は相手に合わせて絞り、具体的な場面で書く。専門用語は使わず、プロフィールを読んだ一言を入れる。
コツ2:最初の誘いは、30分ほどの座談会のような気軽な場を1つだけ。日程は会社から候補日を2〜3つ出す。
コツ3:来ると得られることと、会える社員のエピソードを書き、学生の不安には先に答える。
土台は定型文でよい。件名と書き出しの一言だけは学生ごとに書き、返信にはその日のうちに返す。
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この記事の著者

事業推進本部 名古屋支社
村上 祥大
グローバル展開する大手アパレルブランドにて、店舗マネジメントを担当。 その後、営業コンサルティングを行う株式会社Empower Xにて、福利厚生SaaSや年商約100億円規模のオフィス移転事業の売上創出とマーケティングを支援。 目標比150%という圧倒的な成果を挙げ、その実績が評価され社内表彰を受ける。 株式会社VOCO入社後は、住宅エネルギー、農業、自動車販売、建設など幅広い業界の採用支援に携わる。BtoC・BtoB双方の現場で培った実行力と、最新の採用市場・学生動向への知見を武器に、採用計画の設計から実行までを一貫して担う。 現在は名古屋支社を拠点に、現場感のある採用支援を推進している。

