面接で聞いてはいけない質問は?|厚生労働省の「配慮すべき事項」と、代わりに聞くこと

    2026年10月20日

    堀本 大然

    経営戦略本部 大阪本社マネージャー

    堀本 大然

      面接で聞いてはいけないのは、本人の適性と能力に関係のないことです。厚生労働省は、本籍・出生地や家族のことなど本人に責任のない事項と、宗教や支持政党、尊敬する人物など本来自由であるべき事項を、就職差別につながるおそれがある事項として示しています。

      悪気のない雑談でも、これらを尋ねれば同じことになります。

      「場を和ませるつもりで、出身地や家族の話を聞いてしまった」。面接に慣れていない社員が面接官を務めると、起こりやすいことです。聞いてはいけない事項、雑談で聞いてしまいやすい質問、代わりに聞くことを順に説明します。

      結論:本人の適性と能力に関係のないことは聞かない

      厚生労働省は、

      • 公正な採用選考の基本として、応募者の基本的人権を尊重すること

      • 応募者の適性と能力に基づいた基準で選考すること


      の2つを示しています。面接で聞くことは、すべてこの2つに照らして決めます。

      本人がどんな家庭に生まれたか、何を信じているかは、仕事をする力とは関係がありません。こうしたことを尋ねると、答えの内容によって合否が左右されたのではないかという疑いを生みます。たとえ合否に使うつもりがなくても、尋ねた時点で問題になります。

      面接官が判断に使ってよいのは、学生が自分の力で積み上げてきた経験と、そこから見える仕事への向き合い方です。聞いてよいかどうか迷ったときは、「この答えを、仕事の適性や能力の判断に使うか」を自問してください。使わないなら、聞く必要はありません。

      厚生労働省が示す「配慮すべき事項」

      厚生労働省は、就職差別につながるおそれがある14の事項を示しています。このうち11の事項は、応募書類に書かせたり、面接で尋ねたり、作文を課したりして把握しないよう求められています。分類ごとに整理します。

      分類

      主な事項

      本人に責任のない事項

      本籍・出生地、家族のこと(職業、続柄、健康、地位、学歴、収入、資産など)、住宅状況(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など)、生活環境・家庭環境

      本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること)

      宗教、支持政党、人生観・生活信条、尊敬する人物、思想、労働組合や学生運動などの社会運動、購読新聞・雑誌・愛読書

      採用選考の方法

      身元調査などの実施、合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施など

      面接での質問だけでなく、エントリーシートや自社の応募書類の項目も対象です。書類に家族の欄や本籍の欄が残っていないか、一度確かめてください。

      雑談のつもりで聞いてしまいやすい質問

      問題になりやすいのは、本題の質問よりも、緊張をほぐすための雑談です。面接官に悪気がないため、聞いてはいけない事項だと気づかないまま尋ねてしまいます。

      • 「出身はどちらですか」「ご実家はどこですか」      :出生地や住宅状況に触れる。

      • 「お父さんは何のお仕事をされていますか」「ご兄弟は」 :家族のことに触れる。

      • 「尊敬する人は誰ですか」「愛読書は何ですか」      :本来自由であるべき事項に触れる。

      • 「支持している政党は」「信じている宗教は」       :思想・信条に触れる。


      このほか、男女雇用機会均等法に基づく指針では、女性にだけ結婚や出産の予定を尋ねることなど、性別によって異なる扱いをすることが問題とされています。結婚や出産の予定は、性別を問わず、適性や能力とは関係のない事柄です。

      代わりに聞くことと、面接官の準備

      代わりに聞くのは、学生自身の経験と、その経験への向き合い方です。私たちが見極めで使う質問の例は、「過去に頑張ったことは何ですか」「過去に失敗したことは何ですか」「それを踏まえて、どう改善していきたいですか」です。

      深く掘り下げることで、学生がどの程度の努力を「頑張った」と捉えているのか、その基準が見えてきます。家族や出身を聞かなくても、仕事への向き合い方は十分に分かります。

      ただし、厳しい問いかけは、学生との信頼関係があって初めて成り立ちます。関係ができていない段階で厳しく問い詰めると、圧迫面接と受け取られます。

      面接官の準備も欠かせません。配属予定の部署の社員に面接に出てもらう場合は、事前に聞いてはいけない事項を共有し、使う質問をあらかじめ決めておきます。

      雑談の話題も、学生生活やアルバイトなど本人の経験に絞ると決めておくと安心です。面接官ごとに質問や基準がずれていないかも、あわせて確かめます。

      まとめ

      • 面接で聞いてよいのは、本人の適性と能力に関係のあることだけ。

      • 厚生労働省は、本人に責任のない事項と、本来自由であるべき事項を、就職差別につながるおそれがある事項として示している。

      • 問題になりやすいのは雑談。出身地、家族、尊敬する人物、愛読書などを何気なく聞かない。

      • 代わりに、学生自身の経験と向き合い方を聞く。面接官には事前に事項と質問を共有する。

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      この記事の著者

      堀本 大然

      経営戦略本部 大阪本社マネージャー

      堀本 大然

      小樽商科大学を卒業後、株式会社データXにて新規事業として展開する経営管理SaaSのカスタマーサクセスを担当し、既存顧客の支援やアップセル・クロスセルの提案を経験。その後の営業会社では、営業コンサルティング部署にて、上場企業の新規事業立ち上げに従事。加えて、マーケティングや、新卒特化型スカウトサービスの新規営業も担い、全社MVPを受賞。その後、創業期の株式会社VOCOに入社。現在は北海道・東海・関西エリアを中心に、日本の大手電力10社の一角を担うグループ企業の子会社や、売上高300億円を超える上場小売企業など、幅広い業界で新卒・中途採用の外部人事を担当。経営戦略本部の一員として、データとAIを活用した採用支援や業務効率化にも取り組んでいる。

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