「その会社、何をしているんですか?」と聞かれたら|会社説明会で、学生がイメージできる言葉に置き換える伝え方

    2026年10月23日

    村上 祥大

    事業推進本部 名古屋支社

    村上 祥大

      会社説明会で自社の仕事を分かってもらうには、学生が知っている言葉に置き換えて話します。「コンビニでサラダってよく買うかな?」のように学生の知っている話から入り、仕事を「誰の、どんな困りごとを助けているか」で伝えます。

      1時間かけて丁寧に説明したのに、帰り道の学生同士の会話は「で、あの会社って何をしてるんだっけ?」。採用担当者にとっては、聞かなかったことにしたい一言です。ただ、これは学生の聞く力の問題ではありません。話し方を少し変えるだけで、届き方は大きく変わります。

      結論:学生が知っている言葉から入り、「誰の役に立つか」で語る

      学生は働いた経験がないので、仕事を「自分の知っているもの」に結びつけて理解します。知らない言葉や会社の仕組みから話し始めると、結びつける先が見つからず、話は耳を通り過ぎていきます。

      そこで、話す順番を変えます。①「〇〇って知ってるかな?」と、学生が知っている言葉で問いかけて話し始める。②自社の仕事が、誰の、どんな困りごとを助けているかを一言で言う。③入社1年目の一日で、その仕事を具体的に見せる。この3つです。

      説明会の良し悪しは、話し方の技術より、その会社をどれだけ深く知っているかで決まります。学生が知っている言葉に置き換えられるのは、自社の仕事をよく知っている人だけです。言い換えを考えること自体が、会社を知る作業になります。

      学生に伝わらないのは、話し手の「当たり前」が多いから

      説明が伝わらない原因の多くは、話し手にとっての「当たり前」です。社内では毎日使っている言葉も、学生にとっては初めて聞く言葉です。本人は普通に話しているつもりなので、気づきにくいのが厄介なところです。

      伝わりにくい言い方

      学生の頭の中

      「なるほど」に変わる言い方の例

      産業用の精密部品を製造しています

      何に使う部品なのか分からない

      みなさんが乗っている電車のブレーキに、私たちの部品が入っています

      年間の取扱量は約50万トンです

      大きいのか小さいのか分からない

      1日に約1,400トン、大型トラック140台分の野菜を、毎朝県内のスーパーに届けています

      ルート営業として既存顧客を担当します

      毎日何をするのか想像できない

      毎週同じお客さまを訪ね、困っていることを聞いて解決する仕事です

      自分の「当たり前」に気づくには、入社1〜2年目の社員に説明会の原稿を見てもらうのが近道です。学生のころに分からなかった言葉を、まだ覚えているからです。「ここ、最初は意味が分かりませんでした」と言われた言葉から、言い換えていきます。

      もう一つの原因は、話す順番です。会社の沿革や組織図から始めると、学生は自分と関係のない話だと受け取ります。

      話し方1:「〇〇って知ってるかな?」と、学生が知っている言葉から入る

      最初の数分は、会社の話ではなく、学生が知っているものの話をします。おすすめは「〇〇って知ってるかな?」と問いかける形です。〇〇には、コンビニ、スマートフォン、通学の電車、住んでいる家など、学生が毎日目にしている言葉を入れます。

      たとえば農業の会社なら「コンビニのサラダって、よく買うかな? あの中のレタス、私たちの畑で育てています」。建設会社なら「駅前の大きな橋、知ってるかな?」、自動車販売の会社なら「家の車って、どこで買ったか知ってる?」と始められます。

      実物や写真を手に持って話すと、学生の目線が上がります。会社の名前を知らなくても、手元にあるものなら興味を持てるからです。

      一般の人になじみのない事業でも、その先にいる人や商品は、学生の生活のどこかにつながっています。社員に「うちの仕事は、最終的に誰の役に立っているか」と聞くと、学生に話せる例が見つかります。

      話し方2:「誰の、どんな困りごとを助けているか」で一言にする

      学生の知っている話から入ったら、自社の仕事を一言で言います。型は「◯◯で困っている人を、△△で助けている会社です」。業界名や事業の分類ではなく、困っている人と助け方で言うと、学生は仕事の意味まで理解できます。

      一言が見つからないときは、「もし自社がなかったら、誰が困るか」から考えます。警備会社なら、「警備業です」で終わらせず、「もし警備会社がなかったら」と想像してもらいます。

      お店や家には泥棒が入りやすくなり、お祭りや花火大会は人があふれて危なくて開けない。そのうえで「みなさんが安心して出かけられるように、街とイベントを守っている会社です」と言うと、仕事の大事さがすぐに伝わります。

      ほかにも、住宅エネルギーの会社なら「電気代が高くて困っている家族を、太陽光パネルで助けている会社です」と言えます。

      専門用語は、使ってもかまいません。ただし、使うたびにその場で言い換えを添えます。「リードタイム、つまり注文から届くまでの時間です」のように一言足すだけで、学生は置いていかれずに済みます。

      数字は、学生が知っているものと比べて伝えます。「年間1,000件の工事」より「毎日どこかで3軒の家の工事が進んでいます」のように、1日あたりに直すと伝わりやすくなります。

      話し方3:入社1年目の一日で見せ、伝わったかを確かめる

      会社の仕事が分かったら、次は「自分が入ったら何をするか」です。入社1年目の一日を、朝から夕方まで時間の流れで話します。最初に一人で任される仕事と、新人がつまずきやすい点まで話すと、学生は働く姿を想像できます。

      たとえば「8時半に出社して朝礼、9時から先輩と2件のお客さまを訪問、午後は会社に戻って見積書づくり」のように、時刻と場所を入れて話します。「お客さまとの関係づくり」のような言葉より、学生はずっと具体的に思い描けます。

      最後に、伝わったかを確かめます。といっても、テストのように聞く必要はありません。説明会の終わりに「ここまでで、イメージしにくかったところはありますか?」と聞き、手が挙がらなければ「〇〇の話、分かりにくくなかったかな?」とこちらから具体的に聞きます。

      学生の質問も手がかりです。「1年目はどんなお客さまを担当しますか」と聞かれたら、伝わっている証拠です。「結局、何をする会社ですか」と聞かれたら、言い換えを見直す合図です。帰り道の「で、何の会社だっけ?」は、こうして少しずつ減らしていけます。

      まとめ

      • 学生は仕事を「自分の知っているもの」に結びつけて理解する。学生が知っている言葉から入り、「誰の役に立つか」で語る。

      • 伝わらない原因の多くは、業界の言葉、ピンとこない数字、沿革から始める順番など、話し手の「当たり前」にある。

      • 説明会の原稿は、入社1〜2年目の社員に見てもらい、分かりにくい言葉から言い換える。

      • 最初の数分は「〇〇って知ってるかな?」と、学生が毎日目にしているものの話から入る。実物や写真も見せる。

      • 仕事は「◯◯で困っている人を、△△で助けている会社です」の型で一言にし、専門用語には言い換えを添える。

      • 入社1年目の一日で働く姿を見せ、最後に「イメージしにくかったところはありますか?」と聞いて確かめる。

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      この記事の著者

      村上 祥大

      事業推進本部 名古屋支社

      村上 祥大

      グローバル展開する大手アパレルブランドにて、店舗マネジメントを担当。 その後、営業コンサルティングを行う株式会社Empower Xにて、福利厚生SaaSや年商約100億円規模のオフィス移転事業の売上創出とマーケティングを支援。 目標比150%という圧倒的な成果を挙げ、その実績が評価され社内表彰を受ける。 株式会社VOCO入社後は、住宅エネルギー、農業、自動車販売、建設など幅広い業界の採用支援に携わる。BtoC・BtoB双方の現場で培った実行力と、最新の採用市場・学生動向への知見を武器に、採用計画の設計から実行までを一貫して担う。 現在は名古屋支社を拠点に、現場感のある採用支援を推進している。

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