職場の環境は新卒採用に影響する?|オフィス移転・リニューアルの現場で見た、学生が「働く場所」で見ているところ

    2026年10月16日

    村上 祥大

    事業推進本部 名古屋支社

    村上 祥大

      職場の環境は、新卒採用に影響します。ただし学生が見ているのは、内装の豪華さではなく、どんな雰囲気の中で毎日を過ごせるのかです。そのため、まずは休憩スペースや清潔さなど、毎日の過ごしやすさに関わり、すぐに手をつけられるところから整えることが大切です。

      「古い事務所を学生に見せるのが恥ずかしい」「移転やリニューアルをすれば、学生が集まるのだろうか」。新卒採用を担う社長や総務の方から、こうした相談を受けます。

      私は前職で、オフィス移転事業の営業コンサルタントとして、多くの会社の移転やリニューアルに関わってきました。その視点から、学生が職場のどこを見ているのか、何から整えればよいのかを説明します。

      結論:学生が見ているのは「どんな雰囲気の中で毎日を過ごせるのか」

      学生が知りたいのは、入社後、どんな雰囲気の中で毎日を過ごせるのかです。採用イベントで学生から受ける質問は、初任給、休日、残業、転勤の有無、職場の雰囲気などです。その中でも職場の雰囲気は、説明会で話を聞くだけでは分かりにくく、来社したときに目で確かめるところです。

      説明会で聞いた話が良くても、来社したときに通路が散らかっていたり、社員が楽しそうに話す様子やイキイキと働く姿が見えなかったりすると、学生は「ここで毎日過ごせるだろうか」と考えます。言葉より先に、目で見たものが判断の材料になります。

      学生が職場で見ている4つのポイント

      学生が職場で見ているところは、大きく分けて4つあります。どれも、毎日の過ごしやすさに関わるところです。

      見ているところ

      学生が確かめたいこと

      ①立地と通勤

      自宅から通えるか、電車なら駅からどう向かうか、車で通勤できるか、駐車場はあるか

      ②休憩スペース

      社員同士で楽しく昼食をとれそうか、くつろげる雰囲気か

      ③清潔さと整理

      トイレや給湯室、通路が片付いているか

      ④働く席と道具

      自分の席やパソコンがあるか、先輩の近くで働けるか

      ①の立地と通勤は、学生が家族に説明するときにも話題になる条件です。駅からの道順や車通勤の可否は、案内の段階で先に伝えておきます。

      ②の休憩スペースは、あるかないかより、「ここでみなさんと仲良くご飯を食べられそうだな」と思えるかが大切です。社員が一緒に昼食をとれるスペースがあると、学生の印象は良くなりやすいです。

      ③の清潔さと整理は、説明会では質問されにくいところです。人前では聞きにくいことほど、学生は来社したときに目で確かめています。聞かれる前に見せておくと、安心につながります。

      ④の働く席と道具は、入社1年目の一日と合わせて伝えます。「入社後はこの席で、隣の先輩に教わりながら働きます」と具体的に示すと、働く姿を想像しやすくなります。

      入口から何が見えるかも、第一印象を左右します。あるオフィス構築会社が公開している事例では、エントランスから中のラウンジが見えるようにし、学びに訪れる学生の期待感を高める空間に仕上げたと紹介されています。

      お金をかけずに直せるところから整える

      学生の印象を良くするのに、最初から大きな工事は要りません。まず、来社する学生が通る道筋を、学生の目線で歩いてみます。入口、受付、通路、トイレ、説明会を開く部屋の順です。

      そのうえで、お金をかけずに直せるところから手をつけます。通路の荷物を片付ける、トイレと給湯室を清掃する、日付の古い掲示物を外す、休憩スペースに椅子とテーブルを置く。どれも社員の手で、すぐにできることです。

      築年数や広さのように、すぐには直せないこともあります。その場合は隠さず、そのまま説明します。良い面だけを見せると、入社後に「聞いていた話と違う」と感じさせ、早期離職につながりかねません。

      移転やリニューアルは「採用のため」だけで決めない

      移転やリニューアルを考えるときは、採用だけを理由に決めないことです。先ほどのオフィス構築会社の公開事例にも、社員のための場所づくりが、結果として採用に生きた例があります。

      再生医療の会社が研究施設に併設したオフィスでは、役員と社員約10名に要望を聞き、入口からガラス越しに執務室が見える設計にしました。完成後、週末に学生を招いて職場体験会を開くと、代表は「応募数が確実に増えた」と話しています。

      このオフィスは、もともと採用のためにつくられたものではありません。社員の声を取り入れ、働く人が誇りを持てる場所をつくったことが、結果として学生に会社の魅力を伝える機会になりました。

      社員が働きやすく、誇りを持てるオフィスをつくることは、採用力の向上だけでなく、社員の満足度や定着率にも良い影響をもたらします。

      移転やリニューアルを採用で伝えるときの注意

      移転やリニューアルをしたら、採用の場で伝えるのは自然なことです。ただし、伝え方を誤ると逆効果になります。注意したいのは3つです。

      1つ目は、写真を加工しないことです。実際より広く明るく見せた写真は、来社したときの落差を大きくします。見学で目にするのと同じ様子の写真を使います。

      2つ目は、配属先を正直に伝えることです。新しくなったのが本社だけで、入社後に働くのは別の事業所や現場という場合もあります。学生が毎日働く場所はどこかを、はっきり伝えます。

      3つ目は、オフィスを前面に出しすぎないことです。職場の環境は大切ですが、学生が最終的に比べるのは、仕事の中身、働き方、育つ環境です。オフィスはそれらを支えるものとして紹介し、説明の中心は仕事と人に置きます。

      まとめ

      • 職場の環境は新卒採用に影響する。学生が見ているのは豪華さではなく、どんな雰囲気の中で毎日を過ごせるのか。

      • 学生が見ているのは、立地と通勤、休憩スペース、清潔さと整理、働く席と道具の4つ。

      • 整理や清掃、休憩スペースの用意など、お金をかけずに直せるところから整え、直せないことは隠さず説明する。

      • 移転やリニューアルは採用だけで決めない。社員の声をもとにした場所づくりが、面接での社内案内や職場体験会を通じて、結果として採用に生きた例もある。既存社員の定着などにもつながりやすい。

      • 採用で伝えるときは、写真を加工せず、配属先を正直に伝え、説明の中心は仕事と人に置く。

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      この記事の著者

      村上 祥大

      事業推進本部 名古屋支社

      村上 祥大

      グローバル展開する大手アパレルブランドにて、店舗マネジメントを担当。 その後、営業コンサルティングを行う株式会社Empower Xにて、福利厚生SaaSや年商約100億円規模のオフィス移転事業の売上創出とマーケティングを支援。 目標比150%という圧倒的な成果を挙げ、その実績が評価され社内表彰を受ける。 株式会社VOCO入社後は、住宅エネルギー、農業、自動車販売、建設など幅広い業界の採用支援に携わる。BtoC・BtoB双方の現場で培った実行力と、最新の採用市場・学生動向への知見を武器に、採用計画の設計から実行までを一貫して担う。 現在は名古屋支社を拠点に、現場感のある採用支援を推進している。

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